船橋 孝恵さん
修了生からのメッセージ
夢を叶えた修了生
学ぶ楽しさに浸り、自分の想いと向き合う、充実した2年間になりました。
言語聴覚士を志したきっかけを教えてください。
大学では心理学を専攻し、卒業後に勤務したデイサービスで肢体不自由と知的障害の重複、発達障害のお子さんのことばやコミュニケーションの訓練をすることになりました。しかし、自分のやり方は本当に子どもたちのプラスになっているのか実感を持てないまま、出産を機に職を離れてしまいました。
その後、高齢者のデイケアで介護福祉士として働きましたが、子どもと関わる仕事がしたいという思いはずっとありました。言語聴覚士という仕事のことも、都市学園大学のことも知っていましたが、資格を取るための勉強についていけるの?学費はどうするの?と自分に言い訳をしていたように思います。もう一度子どもに関わる仕事に就くなら、きちんとした知識や資格を得たい、年齢的にも今を逃すときっと後悔すると思い、入学を決めました。
言語聴覚専攻科が大卒2年課程であること、専門実践教育訓練給付制度が利用できたことも決め手になりました。
学生生活で楽しかったこと・苦労したこと・悩んだことを教えてください。
楽しかったこと
知りたかったことを学べる機会を得られ、学び直せる環境にいられたことがとにかく楽しかったです。次々やってくる試験に追われても、クラスメイトに助けてもらいながら、「なるほど!」という瞬間を積み重ねていくことができました。
授業も先生方の経験に裏打ちされた構成で、座学だけでなく当事者の方のお話を聞かせていただく機会があったり、グループで訓練内容を考えたりして、実践的な授業が受けられたこともよかったです。
苦労したこと
とにかく覚えることが多く、試験がひっきりなしにあったことです。通学に時間がかかったことと、家庭における自身の役割において、自分なりの勉強方法を見つけるのに随分試行錯誤したように思います。最終的には限られた時間の中で、うまく勉強時間を生み出すことができ、集中してできたと思います。
悩んだこと
家事との両立です。入学前と同じように家事することは到底叶わないことだったので、家族に迷惑がかかることを申し訳ないな、という思いがありました。しかし、入学の際に背中を押してくれた家族に対して、この2年を精一杯やりきることが感謝の形、と切り替えて、家族に頼りながら学生生活を送りました。
2年制というカリキュラムは、終わってみてどうだったと感じましたか。
およそ一年半の間に授業と臨床実習があり、国家試験のための勉強へ突入、というスケジュールなのでとにかく必死で、あっという間でした。同時に、これまでにないくらい自分と向き合う機会があり、新しい価値観にも出逢えたように思います。
同じ志をもつクラスメイトとの出逢いや過ごした時間も、私の人生において大きな収穫であり、充実した2年間だったと感じています。
就職活動において、どのようなことを心がけていましたか。
小児領域にこだわりました。希望していたところに求人がでても、通勤や年齢的なことを考え、願書提出をあきらめたこともあります。どうしても見つからなければ成人でも…と揺らいだこともありました。
そんな時に先生が相談に乗って下さり、一緒に考えて下さったことはとてもありがたかったです。自分の中で大事にしたいことの優先順位を固めながら、希望通り小児領域に就職することができました。
国家試験の勉強に専念する時期を振り返って、どのように過ごしていましたか。
家では勉強ができないタイプなので、ほぼ毎日大学に通いました。
私はテキストから勉強することが苦手で、模試や先生方が用意してくださった過去問からテキストに戻るやり方が合っていました。クラスメイトと問題を出し合い、アウトプットすることも知識の定着に役立ちました。誰かが分からないことがあると、その場にいるクラスメイトで一緒に調べる、先生方に口頭試問をお願いするといったことで、分かっていなかったポイントに気づけることも理解につながっていきました。
模試の度に、先生方が結果を見てアドバイスをくださったことも励みになり、少しずつ自分の勉強方法でいいんだ、と思えるようになりました。
クラスメイトとは散歩に出かけてリフレッシュしたり、お茶をしに出掛けたりと、試験が迫った日々でも笑わない日はなかったと思います。もちろん不安もありましたが、クラスメイトや先生、そして家族の支えで乗り切れました。
現在、夢を叶えて、言語聴覚士としての一歩を歩み始めました。今の仕事内容と日々感じていることを聞かせてください。
広島市こども療育センターなないろでは、2歳~就学前の発達障害のお子さんを対象とした外来療育を行っています。言語聴覚士、作業療法士、心理士、保育士のチームで集団プログラムを実施しています。言語聴覚士としては、クラス全体で行うお口の体操や、構音検査を実施しています。
集団において他職種でかかわることで、言語聴覚士としての視点でことばやコミュニケーションへのアプローチを考えるとともに、多職種の視点を知ることができます。多角的に子どもたちの状態を捉えられる言語聴覚士になれるよう、研鑽を重ねています。
課題に取り組む時にどうしたら子どもたちが分かりやすいのか、集団の場で過ごしやすくなるのか、家庭・園・これからの小学校での生活を見据えた支援を考えることは、まだまだ難しいと感じています。少しでも子どもたちのプラスになる効果的な支援を提供できるようになりたいです。

これから学びを深める専攻科の学生へメッセージをお願いします。
専攻科の2年間は確かに大変ですが、先生方をはじめ、本当にいろいろな方からの応援を支えにしながら、あっという間に過ぎていく感じがします。それでもその時間はとても濃く、充実しています。
1人でがんばろうとせず、周囲を頼りつつ、どうぞ楽しみを見つけながら、言語聴覚領域の学びを積み重ねていってください。異年齢のクラスメイトも、次から次へとやってくる知識も、自分と向き合う時間も、きっと卒業後の糧になると思います。

